なかなか実現しなかった面会交流の帰り際。

私は元妻との約束をしていたので、奈良の住居のある最寄り駅まで送っていくことにした。

その時、息子は帰りたくないと言い出した。

「パパと一緒にいたい。」
「次いつあえるかわからないのは寂しい。」

そう言って駄々をこねる息子をなんとか説得しながら最寄り駅まで電車で向かった。

最寄り駅に到着する時刻はすでに伝えてあったので迎えに来ているものとばかり思っていたが、改札口をはさんだ先には誰もいない。

誰もいないなか、息子とバイバイすることはできないので、しばらく様子を見る。

どうにも来ている気配がないため、ラインを送る。

既読にならない。

既読にならないまましばらく時間が経過していく。そこで息子に、あと5分待っても連絡がなかったらパパと一緒に帰ろう。と告げる。

息子は喜び、連絡がないことを祈っている。

しかし、程なくして元妻からLINEに連絡が入る。今からすぐに行くという。

苛立ちを覚えつつも、息子にはもう少ししたら到着するという旨を伝える。

とても残念がっている息子をなだめているところに、元妻から電話がかかってくる。

「着いたけど、どこにいてるん?」

連絡がつかなかったのは元妻の方であるのに、なぜだか怒り口調である。その前に、遅れてごめんという言葉をいうことはできないのだろうか。

ああ、この人はどうやってもこうなんだな。

と諦めつつ、息子を改札口へと送り出す。

改札機に切符を入れて中央まで進んだとき、息子は右腕で涙を拭きながら歩くのをやめてしまった。

よほど奈良に帰るのがいやなんだろう。

なんとかしてあげたいが、奈良での生活などの実情がわからないために、どうすることもできない。

今度会ったときにはもっとしっかり話を聞いてあげないといけないな。

そう思いつつ、その息子の姿を見て、もらい泣きしてしまいそうになる自分を振り切り、帰路についた。